作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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説得力のある演奏とは

例えば、この人の生き様は...と思わせるような壮絶な人生を送った人がいるとします。その人自身は、ひたすら自分と向き合って一生懸命に行きぬいた...その人自身にとってはそれだけのことだったりするわけです。そこには、周りの人が壮絶だと思っているとかどうだとか、そんなことは眼中にはないし、どうでもよいことなのですね。

さて、こういう人の生き様に惚れ込んだ人がいるとします。そして、自分も人が圧倒されるような壮絶な人生を送りたいと考えたとします。いろいろなことを考え始めます。まず、何をもって人は壮絶だと考えるのか、とか、どうすればその壮絶な生き方をしていることを人に見てもらおうか、とか、さらには誰か発言力のある人に自分の生き方を評価してもらうような手立てはないかとか...そんなことになるのかも知れません。

でも残念ながら、この人の生き方をみて、圧倒される人はいないはずです。何かが違うんですね。

イントロがとんでもない書き出しになりましたが、説得力のある演奏というものも、大げさに言えば、説得力のある人生と同じような面を持っていると、私は思うんですね。

素晴らしい演奏にもいろいろあると思いますが、総じて素朴な演奏が多いものです。雄弁なスピーチが説得力を持つということと、奏でられた音楽が説得力を持つということは、根本のところで何かが違うのだと、私は思います。雄弁なスピーチは、人に強い印象を与えるための仕掛けがいろいろ組み込まれていて、ある意味で作為的なものです。説得力のある演奏というものは、その演奏家が音楽と向き合うその現場を傍らから垣間見させてもらっていて、その作業が本質に迫っていて素晴らしい、というような風情だと、私は思っています。

それくらい音楽を奏でるというのは、個人的なことだと思うんですね。その人自身にとって最も意味を持っているはずなんですね。その音楽と向き合うことにどれだけの意味を見出すか...自分が自分自身に課す課題であり、その課題に自分で答を出すということだと思います。

アマチュアは技術的にも時間的にも制約が多くて、なかなかこういう境地を味わえません。むしろ、美しい音楽を聴いて感動し、自分も及ばずながら音楽を作り出す過程に参加してみたいという動機から、我々は音楽を奏でることを喜び、楽しんでいるのだと思います。それでも、音楽を奏でるということは、実は自分自身が作品に向き合う孤独な作業なのだという感覚を、私はどこかで持ち続けていたいと思うんですね。

...今回の話は、自分に対するつぶやきのような内容になってしまいました。(笑)
by violink | 2004-05-10 02:14 | Performance
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