作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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仮説と検証

楽器を弾くときに、表現ということを掘り下げれば掘り下げるほど、楽譜に書かれている情報と、自分が表現すべきこととの間に大きなギャップがあることに気づきます。「すべて楽譜に書いてあるからそれを表現しさえすればよい」とは、よく言われますし、僕も基本的にそのとおりだと思いますが、それでも、このギャップの存在は明らかだと思います。

同じ文学作品を自分で音読するときと朗読を聴くときとで、込められているニュアンスが相当違うのも、似た例だと思いますね。文章に書かれていることは、ある意味では楽譜よりも単純で、そこには文字と句読点しかありません。そこに何を付け加えて朗読者は朗読するのでしょうか。

それは、作者が文章に込めようとしたニュアンスを自分なりに汲み取り、それを表現しているのでしょう。音楽表現もその点は基本的に同じだと思いますね。

さて、それでは、作曲家の意図をどのように汲み取るか。その意図には、音符単位の細かいものからフレーズ、楽章、曲そのものに至るまでの、場合によっては複数の曲のセットにまで拡大できるような、様々なレベルの意図が存在すると思います。

これを表現しようとすると、様々な表現の可能性の中からスクリーニングを行って、よりよい表現を選び出していくという作業が必要になります。いわば、仮説を立ててそれを検証し、検証結果が好ましいものを選んでいく作業と似ていると思います。

ただし、物理的に可能な表現のオプションをすべて試すには、時間がいくらあっても足りませんし、試した上でスクリーニングを行うためには、判断基準というものが必要ですね。

そこで、作曲家のクセというかキャラクターというか、そういうものを感じ取るセンスが重要になってくると思います。基本的には、漠然とは誰でも持っているセンスだと思いますね。プロコフィエフの作品を聴いて、モーツァルトの作品だと思う人は恐らくいないはずです。

ただし、この二人の作曲家(極端な例示ですが)のキャラクターがどう違うから間違いようがないのでしょうか。それは、比較によるのではなく、それぞれのキャラクターを自分なりにつかんでいて、相手のキャラクターがそれとは違うからだと思います。

作曲家のキャラクターを、小から大へ、大から小へと、自分なりにイメージとして持つようにすることで、先ほど述べた仮設と検証の作業は、驚くほど効率的になります。(というより、このイメージがないと、表現に辿りつきさえしないのです。)

人からもらったメールや手紙を読むとき、何故か、その人の声で読んでいませんか? それに似たことが楽譜を読むときにもあるのだと思います。少なくとも、そのような認識を持って楽譜に向かう、というイメージ作りから始めてみるのもいいと思いますね。
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- Bartolomeo Giuseppe Guarneri 1741 "Vieuxtemps" -
by violink | 2006-01-19 11:28 | Expression
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