作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
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作品を知るための「遊び」(続編)

昨日のお話の続きです。ベートーヴェンのソナタ第5番の第1楽章の冒頭のメロディーについて、昨日書いたような「遊び」をしてみて、僕が気づいたことは、次のようなことです。

まず、このメロディー(最初の11小節)は、全体が大きな音階になっているということです。つまり、AGFEDCBAGFEDCBAGFEDCBAGFまで下行音階で、最後の2小節だけは、(Fis)GAB(H)CDEFという上行音階になっています。こういう単純な構造の中で、ベートーヴェンはメロディーの色合いを出すために、どのような工夫をしているでしょうか?

まず、最初のA-[GFEF]GFEDですが、この[ ]内の動きが装飾音符のように働いていますね。その次のGFEDは次のCにつながる動きですね。その意味で、この一連の音の動きの推進力は後半にあるように思います。

続く、C-[DCHC]DCBAの前半は同じく装飾音符的で、後半は次のGFにつながる動きです。そして、その先にある[EF^FD]CB[AB^BG]FEの動きは、[  ]内の音は、音の順序が、FEDとかBAGではなくて入れ替わっていますが、このことで、FDからd-mollの響き、BGからg-mollの響きが浮かび上がっていますね。尤も、この箇所はピアノが小節の頭からこれらの分散和音を弾いていますので、逆に[EF^FD]のEや[AB^BG]のAが装飾音符的な役目を果たしているように聞こえますね。

さらに、少し飛ばした先のCBAGFの動きについては、f-durの響きで一貫させてもおかしくないところを、f-durからd-mollの響きに一瞬ひねってから、g-dur、c-durのセブンスコードを経てf-durに戻す動きになっています。ここでd-mollが登場せずにf-durの響きで一貫されていたとすると、その後で戻ってくるf-durのインパクトが弱くなりますね。というか、つまらなくなりますね。

とりあえず、冒頭の11小節については、こんなことを感じたんですね。
by violink | 2006-02-09 06:05 | Interpretation
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