作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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作品を知るための「遊び」(その2)

バイオリンを弾く人なら、恐らくほとんどの人が知っているチャイコフスキーの協奏曲。第一楽章の最初のソロは、オーケストラの伴奏がありません。ここに貴方が1つだけ音を選んで、木管楽器にロング・トーンを吹かせるとします。さて、どの音を選びますか?

ポイントは、この裸のソロ全体にわたって、この音のロングトーンを延ばしている、というところにあります。

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さて、数日の間に、Bernardoさんから2つのコメントがありました。僕が上の問いかけをするときに想定していた回答は、A-durのセブンスのどれかだろうということでした。その意味で、Bernardoさんの答は、想定の範囲内だったと言えます。

実は、僕は最初はGを選び、Aに選び直しました。Gを選んだ理由は、A-durからD-durにつながるためには、ブリッジとしてA-durのセブンスを持ってくるのが自然で、チャイコフスキーもこの裸のソロにこの和音を添えています。そして、この和音を特徴付ける音はGです。ただし、根音がAなので、半音違いのGisだけを鳴らすのは、どうも座りが悪いんですね。

それに、ソロの最初からGを鳴らすのは具合が悪い。というのは、僕なりに2つ理由があって、まず、ソロの弾き始めのA-B-Aは、その直前のtuttiの動きを引き継いでいるので、これを妨げたくないんですね。それから、ソロにA-durのセブンスを弾かせてあげたい。それが出てくる前に「種明かし」をしてしまうのは、具合が悪いというわけです。それで、無難なAに考え直しました。

さて、僕がなぜ今回の問いかけをしたのかというと、オケの伴奏がないソロだからこそ、自分の中で持っているべき和音を鳴らしながら弾かないといけない箇所だと思ったからで、A-durのセブンスがその和音に当たるわけですが、具体的に和音をイメージすることで、この一連のメロディーを歌うときに、どの音が重要でどの音がそうでないか、すなわち、どの音で歌い込むのは自然で、どの音はそうでないか、ということを考えるヒントになると思ったからですね。

ところで、BernardoさんのB-H-C-Cisというのは、とても面白いアイディアだと思いました。

ちなみに、僕だったら、これは木管楽器ではなくソロに弾かせます。そして、音としてはBは省略します。その方が、次のD-durを予感させやすいと思うからです。そして、ソロの終わりのtuttiに入る直前の、H-A-GのAを鳴らしながら一オクターブ下のAからH、Cと一音ずつ独立させて弾き、Gに移ってからCisを弾くようにすると、うまくtuttiにつながりそうですね。

下の方で動く4つの音は、短めにして、tuttiの直前はGだけが残るようにしたいですね。重音でベッタリ弾いてしまうと、どうも重たくて。

裸のソロは、全体がカデンツァっぽいので、こういう遊びもありですかね。(笑)

以上、今回の「遊び」のまとめでした。

PS ブログの原稿を書き直したときに、Bernardoさんのコメントも消えてしまいました。ごめんなさい。。。
by violink | 2006-02-12 12:24 | Interpretation
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