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音楽表現のイメージ
表現というものは、表現する人がいて、表現したいという欲求があって、表現されて、それを受け取る人がいて、初めて成立するものですね。表現する人、表現を受け取る人の、少なくとも2人以上の人間が関わる行為だと言えます。
人が違うと何かと違いますよね。同じ言葉を使っても、同じ風景を見ても、同じものを食べても、全く同じ受け取り方をすることは皆無ですね。それには、性格の違いもあるでしょうし、生きてきた環境、経験の違いもあるでしょう。 そういう中で、音楽を使って自分が表現したいと思うことを、ピンポイントで伝えるのは、ほとんど不可能ではないかと思っています。そして、自分が表現したいことに近いものを相手が受け取ってくれるかどうか、ということが次に来ますね。 優れた芸術作品は、音楽であれ絵画であれ、多くの人を魅了するものです。それは、音楽の巨匠、絵画の巨匠の表現した世界が、人生経験その他いろいろな違いのある人々からみて、人によって違うとしても、何らかの感銘を受けるだけの広さ、深さ(=異なる立場からみても感銘を受けるような)を、その作品が持っているからだと思います。 さて、次元はずっと低くなりますが、僕たちが音で表現するという場合でも、やはり、表現の背景に持つ世界は出来るだけ広く持っておきたい。作曲家が楽譜を通して表現しようとしたことを、楽譜から読み取るというより、楽譜を介して垣間見るというような、そういうイメージで作品と向き合いたいと思うこの頃です。 そういう目線でいろいろな演奏を聴いてみると、音としての処理の仕方は違っていても、背後にある世界は共通しているな、と思える演奏が随分あるものです。音を通じて直接感じ取れる部分と、音から察して間接的に感じ取れる部分との振り分けが、演奏家によって違うということなのではないかと思っています。
by violink
| 2006-03-03 06:40
| Expression
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