作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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楽器メーカーの序列について

四方山話的にバイオリンの話を人にすると、古くなると値段が上がるらしいね、とか、古いものほど良いのか、といった質問が返ってくることがよくあります。これらは、ある種の「常識」として行き渡っているようで、僕も人前でバイオリンを弾いて、質問コーナーなどをやると、大抵は、古さや値段に関する質問が出てきます。

さて、古い方が高いのか、古いものの方が良いのか、ということを考えるに当たっては、楽器メーカーの序列ということを考えてみる必要がありますね。というのも、古さだけが値段を決めていると考えられている(あるいは、値段を決めているファクターとして、古さのほかには音色くらいが思い浮かばない。)状況が一般にあると思うからです。

そもそも、どのような楽器が楽器として素晴らしいのか、ということですね。答は意外にシンプルで、①発音体として理に適っていて、②ルックスが美しい、という2点に尽きるのだと思います。これ以外の要素は、付加的に価値を加えるか減らすかであり、例えば、保存状態とか、有名な演奏家が使っていたとか、オリジナル性が損なわれているとか、そういったことは付加的なことですね。

では、①と②は関係がないのかと言えば、②をクリアするものは①もクリアする場合が多いと言われます。これは、何をもって美しいとするか、といった論点とも絡むのですが、楽器メーカーとしての序列は、そのメーカーの典型的な作品のもつ構造や姿の美しさをもとに、過去100~200年の歴史の中で、出来上がってきているのだと思います。

ただし、現在もてはやされているストラドやデルジェスが作られた頃、実は、ドイツのJacob Stainerの楽器の方が高く評価されていたと言われます。その証拠に、この2大巨匠が活躍した18世紀前半より後の時代、つまり18世紀後半にも、Stainerのパターンをモデルにして製作したメーカーがそれなりの数、いますね。フィレンツェのT.Carcassiもそうですし、イギリスではD.Parkerなどもそうですね。その一方で、例えば、オランダのH.JacobsはN.Amatiの影響を受けていると言われますし、より後の時代のJ.T.CuypersはA.Stradivariの影響を受けていると言われます。

そう考えると、楽器メーカーの序列は時代によって変わってきたという面もあると思うのですが、19世紀以降は、演奏効果という面でストラドやデルジェスが認められて、現在に至っているということなのでしょう。

今回は、いささかオタク的な話になりましたが、長い歴史を持つ楽器であるだけに、時代の流れの中で変わらなかった部分、変化を遂げた部分の両方があるということですね。こういうことを探求することは、それ自体結構楽しいものですね。

<本日の楽器> M. Gadda 1982
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by violink | 2006-10-18 22:05 | Instruments
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