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リッチ vs. アルゲリッチ
稀代のピアニストであるアルゲリッチが伴奏し、リッチがソロを弾くコンサートをライブ録音したCDを聴く機会がありました。曲目はフランクとプロコフィエフの2番(いずれもソナタ)です。
これほど雄弁なソロと伴奏の組合せは、他に類をみないと言えるでしょう。それだけに、ピアノ伴奏の存在感とヴァイオリン・ソロの存在感とが、うまくバランスするのだろうかと、聴く前は興味津々でした。 聴いてみると、フランクはまさに火花を散らし合うような演奏で、音量的にソロが負けそうになる箇所も随所にあるのですが、そういう場所は、ピアノがかなり厚く書かれているにも拘わらず、ソロはロングトーンだったりするので、両者のバランスをとるのは、もともと至難の業のようです。逆に、ピアノを抑えると、まるで精彩を欠く演奏になってしまいます。 プロコフィエフの方は、むしろ、今まで聴いたことのあるどの演奏よりも、ピアノの伴奏が絶妙で、プロコフィエフらしい和声の微妙なブレンドが、とても効果的に表現されていました。独特な和声だけに、どの音をコアにするかで、味わいは千変万化します。どの音をコアにしているのかが、これほどクリアに表現されているピアノ伴奏には、なかなか出会えないですね。新しい響きを随所に感じ、とても新鮮な印象でした。 こういう演奏を聴くと、作品の解釈はどうあるべきか、という深遠なテーマに立ち戻ってきます。どこまでが作曲家の意図で、どこからが演奏家の個性なのか。。。。 今回も、このことを自問しながら聴いていたのですが、結局、演奏家の洞察力によって作曲家の意図が鮮明に表現される、ということもあるのだということを強く感じさせられました。
by violink
| 2007-08-05 20:43
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