作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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シフティングの基本は瞬間移動-脱力すること

シフティング(ポジション移動)は、4本しかない指を使って幅広い音域の音を出すために必要になるので、指がたくさんあればシフティングは必要ありません。というわけで、シフティングの基本は、移動したことが分からないような瞬間移動だと考えています。

瞬間的に移動するためには、移動の動きを素早く行うことと、移動を始めた瞬間にすぐに脱力することが必要ですね。特に、脱力が上手く行かないと、その後の指の動きが鈍くなってしまいます。イメージとしては、上行音型でのシフティングであれば、肘のところに脱力すると縮むバネがついているような感じでしょうか。

また、静止している状態から動き出すまでのステップが少なければ少ないほど、動き出しやすくなります。そのためには、弾くときにネックを握り締めないようにすることですね。握り締めていると、一旦緩めないと動き出せません。いつでも動けるようにしておくことが大切ですね。これは楽器の持ち方・支え方そのものに関係してきます。

それから、シフティングの途中では、(ガイディング・フィンガーと呼ぶ人もいますが、通常は、)人差し指を残して、滑らすような感じになりますが、これも、できるだけ摩擦が少なくなるようにした方が、移動が素早くできます。シフティングに習熟すれば、指をほとんど滑らせずに移動することができるようになります。

ただし、それは体がそれぞれのポジションでの腕や手の形を覚え込んだ後のことですので、まずは、正しい音程を意識しながら丹念に練習していくことですね。
# by violink | 2015-03-05 05:46 | Shifting

移弦という技術

バイオリンの4本の弦を弾き分けるためには、移弦の技術が必要ですね。特に、重音では、2本の弦を同時に弾くというだけでなく、その音量のバランスも関係してきますので、重音から重音への移弦は、単音から単音への移弦に比べて、格段に難しいものです。

逆に、例えば、D線からA線へというような、隣り合った弦の間での移弦では、右腕の動きもシンプルなものですので、普段、あまり意識することなく、なんとなくやっているということも多いと思います。しかし、こういうシンプルな移弦こそが、より複雑な移弦の基礎になるものですので、シンプルな移弦をきちんとマスターすることが重要ですね。

移弦をするときの右腕の動きは、(1)弦の上で弓を止めて弓の角度だけを変える、という動きと、(2)移弦の際に弓を返す動きを伴うものと伴わないもの、という2つの動きに分解することができますね。移弦の練習をするときは、(2)を取り除いて、(1)だけを取り出して行う、つまり、弓先、弓中、弓元で弓の角度だけを変える、という練習をした上で、(2)を組み合わせるのが効果的だと思います。もちろん、この練習を行う前に、同じ弦の上を弓元から弓先まで弾く、普通のボーイングの技術が身についていることが重要です。

さて、(1)の練習をする際に最も大切なことは何でしょうか。腕の形でしょうか、肘の高さでしょうか。実は、そういう外見よりも、弓を通じて右手に伝わる「弦を捉えた感触」が、移弦の前後で変わらないようにすることが重要です。そのように移弦を行おうとすれば、おのずから、腕の形や肘の高さも決まってくるものだと思います。このような右手の感触は、とても疎かになりやすいものですが、逆に、この感触が分かるようになれば、その感触に神経を集中することによって、移弦が上手くできたのかどうかを、容易に自己判定できるようになります。

この感触に気を付けるようにすれば、例えば、重音から重音への移弦の場合には、最初の重音をよいバランスで弾ける弓の角度になっているか、次の重音についてはどうか、ということを自己判定する助けにもなります。

先が重い弓を使っている場合は、弓元で弓の角度を変えるのは少々苦しいと思います。そのような場合は、敢えて多少弓先よりのところで練習するようにするのがよいでしょう。

要は、右手の感触(=右手の指が弓に接触するところからくる感触)を通じて、弦と弓との接点に神経を集中するということですね。このように神経を集中させると、不思議と弓が移弦でバタつかなくもなります。一朝一夕に成果が出るものではありませんが、普段から意識して練習して行けば、きっと、移弦の技術を向上させることができると思いますね。
# by violink | 2013-11-06 23:01 | Bowing

イザベル・ファウストのバッハの世界

昨日、彩の国さいたま芸術劇場に、イザベル・ファウストのバッハ無伴奏ソナタ・パルティータ全曲を聴きに行ってきました。とても楽しく、また、多くの気づきのある演奏会でした。これまで表に出ることのなかったこの偉大な作品の奥底に秘められたメッセージの一部を垣間見るような、本質の一端に触れたような、そのような充実感を覚えるひとときでもありました。東京オリンピックの年にちょうど300歳となるこの偉大な作品も、やはり、その時代時代の、優れた演奏家の手によって初めて生き永らえてきたのだ、そして、今後もそのようにして生き永らえていくのだ、と実感する機会にもなりました。

調性とか、旋律と伴奏とか、対位法とか、そのような言葉を以て語ろうとすれば、この作品の演奏時間(約3時間)を優に超えることになるのでしょう。細かい音の動きの中に、いろいろな仕掛けが隠されており、それぞれの仕掛けにどのくらいの存在感を与えるかということに、解釈の余地が多く残されていることが、演奏者の違いによってこの作品の表情がまるで異なることの背景にはあるのでしょう。今回の演奏は、どこか、そのような仕掛けの在処をすべて見つけ出して、それらの仕掛けに確かな存在感を与えるような演奏であったことに加えて、その背後には、厳然たるカトリック教会の石造りの重々しい建物のような、堅牢な構造物のようなものの存在を醸していたと思います。

彼女は、バロック弓を使用して演奏していました。バロック弓は現代弓ほど先が重くなく、その分、アップボウの入りでアクセントを付けるのが難しい、ということもありますが、その分、強拍と弱拍の差を付けやすいとか、弓元での重音(3~4音)を弾く時の操作がやりやすい、という特徴もあります。彼女の演奏は、全体として軽やかな要素があると思いますが、その表現にはバロック弓が貢献している部分も少なからずあるでしょう。

また、ソナタやパルティータの1曲が大きな縦長の厚い紙に4ページ仕立てで張り付けた譜面も印象的でした。1曲の中での緊張感を途切れさせないための工夫なのでしょう。ただし、決して張りつめた緊張感に終始するのではなく、彼女自身が演奏することを楽しんでいる様子も、そのステージの上での踊るような動作から感じ取れました。時に両足ともつま先立ちとなり、時に両膝を軽く曲げて、、、といった動作が、それぞれの箇所での音による表現と相俟って、より明確なメッセージとなって伝わってきました。

全体を通じて、ほぼノン・ヴィブラートでしたが、旋律の最後のロングトーンでは、弓をゆっくり波打たせることにより控えめなヴィブラートの効果を出していました。

個人的に最も勉強になったのは、移弦に伴う右手の動きで、四重音を弾く時の動作や、細かい動きで移弦が多く出てくる時の動作など、同じ移弦でも、右手の関与する範囲が手首から先だけとか、腕全体とか、いろいろ異なりますが、その使い分けが見事でした。また、すべての音が、その音に応じたクリアさで発音されていましたし、また、弓が弦から離れるときに楽器の響きを殺さないということが、すでに無意識になのだろうとは思いますが、徹底されていたと思います。
# by violink | 2013-11-04 06:35 | Concert

サロン

前回の投稿から、はや1年が過ぎてしまいました。

お久しぶりです。1年もサボっているのにむしろアクセスが増えている。。。ありがたいことです。そして、久しぶりの投稿のタイトルは「サロン」。サロン・コンサートの告知かと思われたかも知れませんが、そうではありません。

実は、前々から、バイオリンを弾く人が集まるオフ会を開催したいと思っているのです。ただし、飲み会中心の楽しい会というよりも、バイオリンを綺麗な音で弾けるようになりたいと本気で思っている人が、それぞれの練習の仕方やフィンガリングなどの知恵を持ち寄って、集まった人がそれぞれに何かを持ち帰れるような機会をイメージしています。

そこで、このような「サロン」の趣旨に賛同いただける方を募集します。そして、どのような「サロン」ができるか、一緒に考えていければと思います。4、5人集まったら、メーリングリストを作って、自由に意見交換をしながら形にしていきます。

このような「サロン」(あくまで仮称ですが。)に興味のある方は、この投稿へのコメント(非公開設定でお願いします。)で、手を上げて(?)ください。その際には、①名前(ニックネーム可)、②メアドに加えて、③バイオリン歴、④現在の活動(オケとか室内楽とか。。団体名を書くかどうかはご自由に。)、⑤大まかな年齢(20代前半、40代半ば、など。)をお知らせください。電話番号、住所は不要です。

それでは、皆さんの「コメント」を楽しみにお待ちしています。。。なお、いただいたコメントへは、専用アドレスを通じてご連絡を差し上げます。ただ、一週間程度お時間をいただく可能性がありますので、お含み置きいただければ幸いです。
# by violink | 2013-09-26 14:07 | Others

楽器は値上がりするのか?

バイオリンの値段は下がらない、とよく言われますね。何回かフルサイズの楽器を買い換えてきた人の中には、そのことを実感している人もあるでしょう。

バイオリンも、他の諸々の商品と同様、需要と供給とが出会うところで値段が決まります。しかし、バイオリンは、同じメーカーの作品でも一本一本コンディションも作りも違うので、メーカーごとに一般的な値段があるわけではありません。このため、自分が持っている誰それ作のバイオリンが現在市場でいくらと評価されるのかは、とても分かりにくいものです。

ただし、一般的な傾向として、イタリアの18世紀前半の楽器が高く評価されている事実はあり、この時代の有名なメーカーが作った楽器で、コンディションのよいものは、コレクションの対象にもなることから、値段も高くなる傾向があります。それ以外の時代、メーカー、コンディションの楽器の値段は、こうしたハイレベルの楽器の値段との相対的な関係で決定されていると言えるでしょう。

新興国での需要増も無視できません。古い楽器は供給が増えることがないので、需給関係上、値段は上がる傾向がありますが、すべての楽器が同様に値上がりしていくわけではないことに注意が必要と思います。バイオリンを欲しい人の懐具合は、コレクターと演奏家とでは明らかに違いますし、欲しいと思う楽器についても、コレクターと演奏家で異なります。

楽器を購入するときには、予算ももちろんですが、自分が楽器を買う理由をクリアにする必要があると思います。そして、投資対象(コレクションを含む)として(も)考えるのと考えないのとで、候補となる楽器の範囲は大きく変わってくるでしょう。

イタリアの新作も、高いものは300万円前後になるという話も聞きます。それが投資対象になるかどうかは別として、その予算であれば、100年以上前のドイツやオランダの作品で、ルックスの点でも音の点でも、かなり満足度の高いものが射程に入ることは、知っておいて損はないかも知れません。

尤も、そのような楽器が現在その値段で購入できるということは、過去100年間での値上がりが大きくなかった(=今後の値上がりも大きくない可能性が高い)ということも、よく理解しておく必要があるでしょう。
# by violink | 2012-09-29 18:05 | Instruments