作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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<音楽という言葉>メロディーと伴奏型のずらしについて

メロディーが4小節単位で動いているようなときには、伴奏型も4小節単位でメロディーと一緒に動いていくのが普通ですね。ところが、メロディーと伴奏型がどちらも4小節単位でありながら、4小節のかたまりがメロディーと伴奏型とで1小節ずれているように感じられることが、時々ありますね。

そのような作り方は、例えるならば、左右の目で微妙に位置関係のずれた絵を立体めがねを通して見るようなもので、音の世界への立体感を与えているように感じます。

例えば、ブラームスの交響曲第2番の第1楽章の冒頭でしょうか。チェロとコントラバスの最初の小節はD-Cis-Dの音型になっており、この形は1→4小節目までの4小節単位になっていますね。一方、ホルンなどのメロディーが出てくるのは2小節目からで、2→5小節目までの4小節単位ですね。低弦のD-Cis-Dは、単なるアウフタクトではないように感じます。それは、後々、この形が繰り返し出てくるほどの存在感を持っているからですね。

そう感じると、このD-Cis-Dはpというダイナミクスながらも、きちんと聴く人に印象付ける必要があるわけですね。逆に、これに続くAのロングトーンは控えめでいいように思います。そう思うのは、このAの音は、この部分のD-durの3和音の根音ではないからでもあります。

理屈はともかく、このAの音の代わりに前の小節からDのロングトーンが伸ばされていたならば、どのような印象になっていたか、頭の中で鳴らしてみるといいですね。Dの音の方が安定感がありますが、その先に続いていきません。逆に、Aの音の方が不安定でその先に安定を求めたくなります。Aの音の存在がそう感じさせるので、音量はさほど必要ないですね。

蛇足ですが、この楽章の冒頭部分は、44小節目に入るところまで、本当の意味で響きが安定する箇所がありません。様々に転調していますし、それぞれの調性の終止形の3和音が聞こえるようで聞こえない、そういう「じらし」が延々と続いているわけですね。実は44小節目に入ると、今度はバイオリンが新しい動きを始めて展開していってしまいます。

ところで、更に蛇足ですが、この楽章は、4分休符以上の休みがある箇所が2箇所くらいしかなかったと思います。あるパートが終わっても、別のパートが動いている最中ということが随所にあります。この2箇所だけに「静寂」を与えたブラームスの思いはどこにあったのでしょうか。想像するだけでワクワクしてきませんか?
by violink | 2004-08-26 08:55 | Interpretation
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