作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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<音楽という言葉>旋律を形作る素材

一つの作品の中には、いろいろな旋律が出てくるものですが、それらは全く別々のもののように見える場合でも、お互いに関連づけられていることがありますね。旋律を形作る素材としての音のつながりのパーツのようなものを共通にすることで、このような関連付けを行っている場合があります。

例えば、ブラームスの交響曲第2番の第1楽章は、D→Cis→Dで始まりますが、この3音で構成される音型が、この楽章全体を通じて、いろいろ形を変えて出てきますね。特に注目したいのは、44小節目から始まるストバイのメロディーがA→Gis→Aで始まることです。冒頭とはそれぞれの音価の関係が異なっていますので、それほど目立ちませんが、作曲者は明らかに意識したはずです。そう考えると、この44小節目からのメロディーを弾くときには、それと分からない程度に、この3音を強調したいのです。目立たない程度にこの3音をタップリ気味に弾いて、その分の「遅れ」をこの直後の上行音型の中で吸収してしまうような感じでしょうか。

このほかにも、冒頭の3音を変形させて使っているところは随所にありますね。64小節目のフルートとバイオリン、66小節目からのオーボエ、127小節目からのバイオリンとビオラ、56小節目アウフタクトからのフルートなどですね。497小節目からエンディングまでの間は、これでもかとばかりに、この3音が形を変えて随所に登場します。これらのそれぞれの箇所では、アーティキュレーションとして、必ずしも、この3音を単位として弾くべきことは示されていませんが、弾く側の心積もりとしては、この3音をひとくくりにして捉えたいと思います。そう捉えることで、この楽章がずっと立体的に、そして躍動的に捉えられると思うんですね。

それからもう一つ、タイトルから外れてしまいますが、298小節目の冒頭の和声ですね。G-mollの3度の和声がスフォルツァンドで出てきます。この楽章では、そもそも短調の3度の和声はほとんど登場しません。その主なものはH-mollのコードとこのG-mollのコードになります。私の感じ方としては、この楽章のようなD-durの世界の中では、H-mollよりG-mollの方が強いインパクトをもって響いてきます。たとえて言うならは、前者は悲しみ、後者は嘆きという感じでしょうか。しかも、298小節目の冒頭は、前々の小節からクレッシェンドをしてのスフォルツァンドです。嘆きのようなニュアンスが、そういう形で強調されているように感じます。しかも、その4小節後からは、元通りのD-durに戻ります。そういう嘆きのニュアンスは微塵も感じられません。この間の4小節でこれだけのニュアンスの変化を表現しなければいけない中で、ブラームスは、フルートとクラリネットを使って、G→Fis→E→D→C→B/A→G→Fis/E→D→Bという音型で、それを表現したわけですね。一見、循環小数のような音列ですが、実は、このように大きく3つのコードから成り立っている音型ですので、コードを構成する音とそれ以外の音との役割の違いを多少は感じたいものです。

ところで、この「嘆き」の直前の290→298小節で、冒頭のD→Cis→Dをバイオリンがppから弾き、これに冒頭のホルンの旋律が重なり、その2小節後には、冒頭では44小節目になって初めて出てきたバイオリンの旋律が早くも登場し、畳み掛けるようにフルート・オーボエに、次いで再びバイオリンに受け継がれて「嘆き」に向かう...限られた時間の中で過去を回想し切ろうとするかのような切迫感、凝縮感を感じます。ppからfを経てスフォルツァンドというダイナミクスもさることながら、畳み掛けるような時間設定、トレモロの採用などが総じてこのようなニュアンスを生み出しているように思います。

更にもう一つ、302小節目からは、冒頭の旋律をオーボエで演奏しながら、バイオリンとビオラがそれぞれ既に登場したメロディーを絡ませています。恰も過去を回想するようなニュアンスが込められているように感じます。ところで、冒頭の旋律ではオーボエは全く出てきませんし、その後もフルートと一緒にしか出てこない中で、302小節目で初めてオーボエが裸で旋律を演奏します。メロディーを演奏する楽器の選び方にも、ブラームスの何らかの思いが反映しているのでしょう。こういう面白さは、ベートーヴェンの交響曲第6番の第3楽章の木管とホルンにも表れていますね。楽器毎の発音や音色や音域の違いからくるニュアンスの違いを自分なりに感じてみるよい機会だと思いますね。

(今回は、タイトルの内容以外のものをいろいろ書き込んでしまったので、後日、これらに関連するテーマで書くときに再掲したいと思います。)
by violink | 2004-08-16 09:02 | Interpretation
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