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<音楽という言葉>転調から感じること
転調には、durとmollの交代を伴うものと、durかmollの一方の中で留まっている転調とがありますね。いろいろなヴァリエーションがあり、とても一言で片付きませんが、転調する前後の調性自体から受ける印象の違いということもありますし、そのような印象の違いを際立たせるために、響きに工夫がされていることも多いですね。
例えば、ブルッフのバイオリン協奏曲第1楽章の冒頭では、①G-moll→②Es-dur→③G-mollという転調がありますね。調性からは、暗い→明るい→暗い、となりますが、①は静的、②は動的、③はさらに動的な印象を受けます。これは調性だけではなく、オーケストレーションからくる部分が大きいですね。(スコアをみてみてください。(笑))こういう印象を表現する際の隠し味として、①、②、③の順に段階的に、聴く人にはそれと分からない程度に、テンポを上げたい衝動にかられます。 ところで、①、②にはバイオリンのソロが絡んでいます。(「ところで」なのです。ソロの入らないオーケストラの動きこそが、この曲の冒頭部分の主役だと、私には感じられるからです。)上に書いたような印象を踏まえると、①と②のソロはどのように入ってくるのがピッタリするでしょうか。①のソロは、メロディーの最後の終止和声のロングトーンに細い線を添えるような形で入って欲しいと感じますが、②のソロは、メロディーの最後のロングトーンの勢いが衰えないうちに、その勢いをさらに増すような音で入って欲しいと感じます。さらに、そのような静的・動的なイメージを引き立てる意味で、①ではインテンポより微妙に遅いタイミングで、②ではインテンポより微妙に早いタイミングで、ソロに登場して欲しいと思うのです。音色的なことには、ここではあまり立ち入りませんが、静・動のコントラストを出すためにヴィブラートを活用して欲しいところです。
by violink
| 2005-08-14 09:04
| Interpretation
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