作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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<音楽という言葉>イメージを得るために

その作品に作曲家がどのような思いを込めようとしたのか。それを知ることは、自分なりの表現の仕方を作っていくプロセスの中で、とても大切なことだと思います。しかし、作曲家の意図など、そう簡単に分かるものではありません。仮に、何か文献を読んで、ある作品の特定の箇所について、作曲家の意図が分かったとしても、それが自分のものにならなければ、自分の演奏の中で表現していくことはできません。

作曲家の意図を自分のものにしていくためには、どうしたらよいでしょうか。

作曲家は、一つの作品を作り上げるまでに、音、メロディー、リズム、テンポ、楽器などについて推敲を重ねますね。ただし、私たちが、作曲家のその作業の中で、何をどういう順番でやり、何をとらずに何をとったか、その理由は何か、ということをつぶさに知ることは、およそ不可能です。それでも、そういうプロセスを自分の中でこなしていくことは、その作品についての自分なりの解釈を固めていく上で、大変役に立つことなのですね。

例えば、ベルリオーズの幻想交響曲の冒頭で、弦が出てくるところの直前の木管の上行音型。G-A-H-C-Cis-D-Esとつながっています。GからEsにたどり着くまでの7音の中で半音をどこに入れるか、ということはいろいろ考えられますね。それがCisで入っているというのは、選択の結果なのだろうと私には思われるわけです。G-A-H-Cと続くことにどんな意味があるのだろうか...と思い巡らすと、冒頭からここまでの木管の動きの中には、G-durやC-durなのか、それとも、C-mollなのかを決める要素がないことに気付きますね。先ほどの上行音型がG-A-H-C-D-Eとなっても違和感がないわけです。そこで、Cisの意味がみえてくるんですね。このCisからC-mollがみえてくるんです。そうなると、C-mollを示すこのCis-D-Esの動きをどのように聞かせるべきか、ということに思いが向かっていくんですね。更に進めていくと、コードからはどちらか分からないにしても、この音型全体はC-moll(=G-durから途中でC-mollに転調したものではない)なのだから、そういうイメージを想起させる音色でやりたいということにつながってきます。

もう一つ、ブラームスの交響曲第4番の第2楽章の冒頭のホルンからオーボエにつながる一節。E-F-G-E-D-Cの音型が繰り返されるので、その先もC-durと思いきや、最後の最後になってGisが出て、E-durに転調してしまうということです。これは、初演で聴いた人はたまげたと思うんですね。そういう驚きを大切にしたいと思いますね。E-H-Gisのコードの中で、E-durにはあるがC-durにはないGisこそがポイントですね。このことを更に進めていくと、この木管の一節に続いて弦に出てくるピチカートは、きれいなE-durの音程で鳴らしたい。それによって、きちんとE-durを印象付けたい、というような欲求になってきます。Gisの音の音程とバランスがとても大切に感じられますね。
by violink | 2004-08-12 09:09 | Interpretation
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