表現の手段としてみたときに、言葉を話すことと楽器を弾くこととは、いろいろと共通点があるものですね。大雑把に捉えても、例えば、道具の使い方を覚える必要があること、周りの人がその道具を使って表現しているかを観察すること、自分が表現したいことは何かを考えた上で表現すること、といった感じでしょうか。
そう考えると、道具の使い方を覚えるということと、何をどう表現するかを考えるということとは、別のことだということが分かりますね。声を発することができても、それだけで言葉が話せるわけではないんですね。
楽器の場合、道具の使い方を覚えることにエネルギーを注ぐあまり、「話す」練習が疎かになってしまうことが多いように感じることがあります(これは自戒の意味でもあります。)。何をどう表現すれば話せたことになるのか、ということについてのセンスを養うことによって、話していないのに話したつもりになる(=「意味不明」の音を出しても全然気にならない)ということがないようにすることが大切なのだと思います。
たまには楽器を持たないで、こういう練習(→練習というよりは音楽体験と言った方がよいかも知れませんが。)をするように、私も心がけたいと思っています。