作者自身の頭の整理のためのメモです。その時々の思いを綴っていきますので、過去記事と内容の重なりがあるかも知れません。(リンク・フリーです。) Photos in the articles: Courtesy of Tarisio Auctions
by violink
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カテゴリ:Interpretation( 32 )

<音楽という言葉>イメージを得るために

その作品に作曲家がどのような思いを込めようとしたのか。それを知ることは、自分なりの表現の仕方を作っていくプロセスの中で、とても大切なことだと思います。しかし、作曲家の意図など、そう簡単に分かるものではありません。仮に、何か文献を読んで、ある作品の特定の箇所について、作曲家の意図が分かったとしても、それが自分のものにならなければ、自分の演奏の中で表現していくことはできません。

作曲家の意図を自分のものにしていくためには、どうしたらよいでしょうか。

作曲家は、一つの作品を作り上げるまでに、音、メロディー、リズム、テンポ、楽器などについて推敲を重ねますね。ただし、私たちが、作曲家のその作業の中で、何をどういう順番でやり、何をとらずに何をとったか、その理由は何か、ということをつぶさに知ることは、およそ不可能です。それでも、そういうプロセスを自分の中でこなしていくことは、その作品についての自分なりの解釈を固めていく上で、大変役に立つことなのですね。

例えば、ベルリオーズの幻想交響曲の冒頭で、弦が出てくるところの直前の木管の上行音型。G-A-H-C-Cis-D-Esとつながっています。GからEsにたどり着くまでの7音の中で半音をどこに入れるか、ということはいろいろ考えられますね。それがCisで入っているというのは、選択の結果なのだろうと私には思われるわけです。G-A-H-Cと続くことにどんな意味があるのだろうか...と思い巡らすと、冒頭からここまでの木管の動きの中には、G-durやC-durなのか、それとも、C-mollなのかを決める要素がないことに気付きますね。先ほどの上行音型がG-A-H-C-D-Eとなっても違和感がないわけです。そこで、Cisの意味がみえてくるんですね。このCisからC-mollがみえてくるんです。そうなると、C-mollを示すこのCis-D-Esの動きをどのように聞かせるべきか、ということに思いが向かっていくんですね。更に進めていくと、コードからはどちらか分からないにしても、この音型全体はC-moll(=G-durから途中でC-mollに転調したものではない)なのだから、そういうイメージを想起させる音色でやりたいということにつながってきます。

もう一つ、ブラームスの交響曲第4番の第2楽章の冒頭のホルンからオーボエにつながる一節。E-F-G-E-D-Cの音型が繰り返されるので、その先もC-durと思いきや、最後の最後になってGisが出て、E-durに転調してしまうということです。これは、初演で聴いた人はたまげたと思うんですね。そういう驚きを大切にしたいと思いますね。E-H-Gisのコードの中で、E-durにはあるがC-durにはないGisこそがポイントですね。このことを更に進めていくと、この木管の一節に続いて弦に出てくるピチカートは、きれいなE-durの音程で鳴らしたい。それによって、きちんとE-durを印象付けたい、というような欲求になってきます。Gisの音の音程とバランスがとても大切に感じられますね。
by violink | 2004-08-12 09:09 | Interpretation

<音楽という言葉>自分の感覚を研ぎ澄ましておくために

自分が演奏しようとして練習する作品というものは、大抵の場合、既に何度も聴いたことがあって、その全体の構造なりメロディーなりが何となくは分かっている場合が多いですね。オーケストラの作品であれば、ここでどの楽器が出てきて、とか、ここであの楽器とこの楽器がユニゾンになって、とか、いろいろ分かるものです。

そういう状態では、その作品の一歩先が読めてしまっているわけですね。予想通りの音が出てくるわけです。これは当然といえば当然ということなのですが、こういう状態では、その作品の音なり響きなりに対する自分の感覚は磨きようがないと思うのです。

初めてその作品を聴いたときに自分が受けた印象を大切にすべきだと思うんですね。初演のときにお客さんが感じるような印象こそが大切だと思います。

例えば、ベートーヴェンのバイオリン協奏曲の第一楽章。ティンパニに続いて木管楽器の主題が出てきて、弦が弾く最初の音はDisですね。D-durの調性の中で出てくるDisの持つ響きに、私たちは大いに驚き、印象付けられるべきなのだと思います。これが、聴きなれてくると、「木管が終わって弦が入ってきたな」くらいにしか感じなくなってしまいます。

CDなどで聴き慣れた作品を、こういう新鮮な感覚で聴くようにすると、いろいろな新たな発見があると思います。作曲家の意図が何であるかということはともかく、まずはそういう発見をすることが、その作品に対する自分なりの理解を深め、また、自分なりにこう弾きたいという欲求にたどり着くための、避けて通れない第一歩なのだろうと思っています。
by violink | 2004-08-11 09:11 | Interpretation